昨年調査させていただいた富士の町屋です。
以下が所見の一部です。
瓦葺き屋根、外壁と破風板はトタン張りで、アーケードで隠されて全景を見ることが出来ないが旧東海道沿いに良く見られる出し桁のある屋根が特徴である。外壁や雨樋は元は銅板だったが戦時中に徴収され、現在の物になったという。現在のトタン張りの外壁は大部分で塗装が劣化し錆が出て状態が悪く残念であるが、前面板金仕上げの外観は迫力がある。雨樋の役物や雨戸の鏡板等は手間がかかっており建物をいっそう引き立てている。店先の雨戸の戸箱は土台部分に御影石を使い左官で仕上げられており重みが感じられる。店先の軒天が板金で覆われて化粧垂木や軒天部分が隠されているのは残念である。
店舗に入ると欅造りの厚いカウンターと良く磨かれた円柱が目に入る、店内の上部に所狭しと飾られた酒の看板にもこの店の歴史が感じられる。また店舗北側には量り売り用の樽置き場があり、樽の酒が最後まで注げるように棚が前向きに傾斜しているのも当時の商売の様子が伺えて面白い。店舗部分の天井は2階小屋裏収納の床板と兼用の踏み板天井となっているが1.5尺幅で重厚さが感じられる。また店舗奥に備え付けられた金庫や店舗内の丸テーブルも趣きがある。
店舗
店舗内の看板
店舗カウンター部分の欅の円柱、上部は踏み板天井
店舗内の流しと量り売り用の樽置き場
2階洋間の造作
竣工は昭和6年、屋根裏の棟札で確認しました。
現在は店舗には使用しておらず住居として住まわれています。
調査時にはご迷惑にもかかわらず大変お世話になりました。
ありがとうございました。
とても素晴らしい建物です。
地域の財産として長く大事にしたいですね。
この建物は
Blog@お天気やさんで紹介されていました。
静岡県富士市
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光と
風と
木のぬくもり 一級建築士事務所 山崎創建
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